50代の引っ越しで気づいた“本当に多かったもの”
50代の引っ越しは、ただ住まいを変えるだけではなく、「これからの暮らしをどう生きたいか」 を見つめ直す大きな転機になります。
子どもが巣立ち、親のサポートが必要になり始める時期。
物の持ち方も、心のあり方も、少しずつ変わっていくタイミングです。
私自身、55歳で24年住んだ家を手放し、逗子へ引っ越しました。
その準備の中で気づいたのは——
“いちばん多かったのは、思い出のものと、
頻度は低いけれど「念のため」と取っておいたスタンバイ品だった” ということ。
整理収納アドバイザーとして年に一度見直してきたはずなのに、いざ引っ越しで棚卸ししてみると、今の暮らしに必要のないものが想像以上に多く見つかりました。
50代だからこそ向き合えた「手放す基準」と、
逆に 「守りたい」と感じたもの があります。
この記事では、
・引っ越し前夜の心の揺れ
・母との暮らしを考えた不安
・40袋の見直しで見えた“物の正体”
・50代の片付けで大切にしたい視点
を、体験談としてまとめました。
同じように「暮らしを整えたい」と感じている方の
ヒントや勇気につながれば嬉しいです。
引っ越し前夜。段ボールの机で食べた、最後の晩ごはん
55歳。
この新しい暮らしは、引っ越し前夜の段ボールの机で食べたご飯から静かに始まっていました。
子どもたちが巣立ち、夫婦2人の暮らしに戻ったと気づいた瞬間、
胸がぎゅっと締めつけられて、涙が止まりませんでした。
「そろそろ引っ越そうか」
夫のそのひと言から、家探しが動き出しました。
大阪で一人暮らしをしていた母のこと、
家族の節目が重なったこともあり、
“住まいを見直すタイミング” が自然と訪れたのです。
この家で24年。
笑って、泣いて、支え合って、子育てして。
家の隅々まで思い出が染み込んでいる。
最後の日は、ひと部屋ずつ「ありがとう」と言って回りました。
だから荷造りはなかなか進まない。
横でサクサク進める夫に追いつけなくて、
笑えて、でも切ない時間でした。
いろんな街を見たなかで、
どうしてか 逗子にすっと惹かれて。
動き始めてから契約までは、わずか2ヶ月。
バタバタの引っ越し。
段ボールの上の最後の晩ごはん。
ここから、“整える暮らし” がもう一度はじまりました。
なぜ手放す必要があったのか
荷造りをしながら、心の中には
“わくわく” と “寂しさ” がずっと入り混じっていました。
広さは前の家と同じ。
でも、収納は減り、ひと部屋は母のスペースに。
図面を見た瞬間こう思いました。
「今までのままでは暮らしが回らない」
母とは30年以上別々に暮らしてきたため、
生活スタイルも、物の量もまったく違う。
母の荷物の多さを考えると、不安も大きくなりました。
だからこそ決めました。
「私が揺るがない意思で整えなきゃ」
これからの暮らしに持っていきたかったのは
・好きなもの
・ワクワクするもの
・家族の思い出
逆に持っていきたくなかったのは
・“子育てだから必要だっただけ” のもの
・ときめかないもの
・古くなりすぎたもの
一度すべてを見直す必要がありました。
特に悩んだのが、思い出の整理。
子どもたちの思い出は手放せなくて、
触れるたびに胸がぎゅっとして涙がこぼれました。
そこで優先順位がはっきりしました。
子どもたちの思い出は残す。
自分の思い出は写真に撮って手放す。
長年使った家具も名残惜しかったけれど、
「これからの暮らしに必要なものだけで整える」と決めたからこそ前に進めました。
一番多かった“物の正体”は、「思い出」と「とっておいたもの」
整理収納アドバイザーとして、
年に一度は家中の見直しをしてきた私。
「この一年使った?」
「必要?」
そんな問いかけをしてきたはずなのに、
引っ越しで再度向き合ってみると盲点がありました。
いちばん多かったのは、思い出のものと
“頻度は低いけれど念のため取っておいた” スタンバイ品でした。
手放した量(45L袋換算)
キッチン:4袋
寝具:4袋
玄関:2袋
リビング:1袋
和室:2袋
納戸:3袋
客間:3袋
思い出・スタンバイ品:12袋
私の部屋:8袋
合計:約40袋分。
引っ越し直前まで“当たり前に収納されていたもの”の多くが、今の暮らしには必要のないものでした。
特に多かったのは…
・季節の飾り
・趣味のもの
・資料や本
・子どもたちの思い出(これは残した)
・自分の思い出(写真に撮って手放した)
世間でよく聞く
「子どものものが実家に溜まっている」というケース。
うちの場合は、
子どもたちは巣立つタイミングで、
“どうしても置いておきたいものだけ” を選び、
ほとんどを持っていくか、処分するかの見直しをお願いしていました。
これは私にとって大きな意味がありました。
訪問サポートでもよく目にするのですが、
実家に子どもの荷物がそのまま残り、
“使われていない一部屋が物置化してしまう” ご家庭はとても多いです。
親として
「持っていきなさい」と言いづらかったり、
「とりあえず置いておいてあげたい」と思ってしまったり——。
けれどそれが、後々の暮らしを圧迫し続ける原因にもなります。
だから私は、
子どもたちが独立するときに
「置いておけるのは、本当に大切なものだけで(^^)/」
と伝えました。
結果として残っていたのは、
“私自身が大事にしまい込んでいたもの” だったのです(-_-;)
手放すことは“過去を捨てる”ことではない
手放すことは、過去を捨てることではありません。
“未来が動きやすくなる” ということ。
引っ越しから2年経った今あらためて、
あのとき立ち止まって見直したことが
現在の暮らしの土台になっていると感じます。
ここからまた、
“整える暮らし” を積み重ねていくつもりです。
50代の引っ越しや暮らしの見直しでは、
“何を手放すか” 以上に
“何を守りたいか” ”人生後半戦、これからどんなふうに暮らしたいか”が大切になります。
✔ 思い出は無理に捨てなくていい
✔ 自分の思い出は写真にして残す方法もある
✔ 「念のため」は溜まりやすい
✔ 手放すと、未来が動きやすくなる
もし今、物が多くて苦しい…と感じているなら、
どこか一ヶ所だけでも立ち止まって見直してみてください。
小さな見直しは、必ず暮らしを軽くします。

